20240211
2011年に起きた東日本大震災以降、陸前高田を中心に被災地を歩いてきた、映像作家の小森はるかとアーティストの瀬尾夏美は、2019年の秋、令和元年台風の大雨と川の氾濫により、大規模な土砂災害の被害を受けた丸森町を訪れました。二人は、津波被害と土砂崩れ、どちらも水にまつわる災害に遭った水害被災地にいくつもの共通点があることに気づき、以来、それぞれ山と海の「津波」被災地である丸森町と陸前高田の歴史と復興の在り方、人々の暮らしをリサーチしてきました。
そして、陸前高田と丸森のちょうど真ん中に位置する石巻もまた、東日本大震災で大きな被害を受けた場所です。石巻中心部から少し離れた北上川の本流付近では、津波が川を遡上し、堤防や橋が決壊しました。ですが、河口が近いこの地域は、家々の屋根に利用するためのヨシ原があり、豊かな生態系を持つ川と共に暮らしてきた歴史があります。
土砂崩れのことを「山津波」と呼ぶことがあるように、これらの土地は、いずれも災禍を乗り越えてきたという点で共通しています。
このように、小森はるか+瀬尾夏美が、アートプロジェクト「住むの風景」、早稲田大学建築学科小林恵吾研究室と共に行ってきたリサーチから、これら地域の被災前後の個人史と地域史には、日本が今後直面する問題の先行地として学ぶべき点が多いことがわかりました。それらは、自然災害に限らず、戦争をはじめとする人為的な災禍の歴史ともつながっています。
この度、東日本大震災から12年目となる2024年3月に実施するスタディツアー「山/津波」では、これら3つの地を、「旅人」である参加者がめぐり、学びを重ねていくことで、土地同士をつなぎ、人々が連帯していくことを試みます。参加者たちは、各地で地域の方々の話を聞き、有識者を交えて議論をし、土地にまつわる詩や歌といった表現を味わいます。実際の風景を前に、表現を通じて地域の過去と現在を学ぶことは、単に「被災地」や「防災」を考えるだけでなく、複雑に絡む社会の諸問題を共に思考し、自らが暮らす土地の未来を想像するための一助になることでしょう。
実施内容
実施日程:
2024年3月23日(土)~25日(月)
事前レクチャー(オンライン)3月9日14時〜16時
ツアールート:
<1日目>
・10時半:石巻駅集合
・震災遺構大川小学校〜北上川河口付近でのワークショップ
・詩と歌のライブに参加
~石巻エリアに宿泊~
<2日目>
~陸前高田へ移動~
・陸前高田嵩上げ地や堤防など復興エリアのフィールドワーク
・有識者とのディスカッション
~陸前高田市に宿泊~
<3日目>
~丸森町へ移動~
・丸森町被災エリア及び復興遊砂地のフィールドワーク
・3日間をまとめるディスカッション
・20時白石蔵王駅にて解散
ツアーガイド:瀬尾夏美、柴原聡子
主催:小森はるか+瀬尾夏美
助成:福武財団「2023年度アートによる地域振興助成」
協力:一般社団法人NOOK、住むの風景
募集要項
災害と文化活動の関係性、記憶継承や被災地の復興、広く土地と人間の関わりに興味がある方。
応募条件|
・事前レクチャーおよび、ワークショップの全日程に参加できること
・18歳以上
募集人数|5名程度
★応募は2024年3月3日(日)24時をもちまして、締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!
選考方法|応募者多数の場合選考いたします
選考結果|3月5日(火)までに結果をメールで告知します。
ワークショップ参加料|35,000円
・集合場所から解散場所までの移動費、宿泊費2泊分を含みます。
★以下の経費は自己負担となります。
・参加中の食費(別途ご自身でご用意)、会食の場合は一部ご負担いただきます。
・自宅から集合/解散場所(石巻駅及び白石蔵王駅)までの往復交通費
・その他、個別リサーチにかかる諸経費、自身の創作に必要な機材・材料費等
お問い合わせ|komori.seo@gmail.com
※個人情報は厳重に管理し、本プログラムの運営のみに使用いたします。