Scenes of New Habitations

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住むの風景

旧友のような竹芝

朝岡英輔

1. 東京ポートボウル

旧友のような竹芝

© Eisuke Asaoka

この1973年創業のボウリング場があるビルには、かつて有名なディスコ「ジュリアナ東京」があったらしい。現在1階のエントランスにある黄色い壁にはピンの絵が描かれていて、それはGINZA PLACEやDAIKANYAMA T-SITEを手掛けた建築家ユニットKlein Dytham architectureの手によるものだとの事。ボウリング場では、桑田佳祐氏の写真がたくさん飾られていて「KUWATA CUP」なる催しもあるくらいだという。(『♪ボウリングが好きなんです〜』という「レッツゴーボウリング」のMVにも登場している。)「フィッシャーマンズハウス」という併設のレストランは、COSTA COFFEEに入れ替わり、看板とレトロな内装だけが残っている。

と、ざっと文字にするだけでも、いかにも派手な歴史を帯びている場所なのだが、フィッシャーマンズハウスのソファ席に座りお茶をしている分には適度な昭和の匂いと落ち着いた雰囲気がただただ心地よい。たぶん、ただ年月だけが経って『残ってしまった』場所なのではなくて、いろんな人たちに愛されて『残されてきた』場所なんだろう。
田町駅から南に行くと隣は高輪ゲートウェイ駅で、そう考えると開発の波は強めの場所に思えるし、実際、田町駅から東京ポートボウルまでの道にも新しい建物や広場が結構あった。反対に北側に行くと浜松町駅がある。

2. 竹芝客船ターミナル

20年くらい前によくきていたなと思う。ターミナルの敷地内はほとんど景色が変わっていない。海の向こうにレインボーブリッジが見晴らせる広場もそのままだ。目を落とすと、柵の外側の茂みに金属製の設備カバーがあって、確か20年前にもこうやって目を落として、これは何なんだろうな、って思っていたのを思い出す。たぶん20年間これはずっとここにあったんだなと思って写真に撮る。

旧友のような竹芝

© Eisuke Asaoka

中央広場にあるマストのオブジェ(?)もそのままだった。ネットで、このマストを「シンボルマスト」と書いてあるのを見たけど、正式名称などはわからない。広場は工事をしていた。知らなかったがどうやらモヤイ像も2体いるらしい。モヤイ像はコーガ石という水に浮く新島特産の石でできていて、渋谷以外にも方々にあるらしい。
客船ターミナルは用途上、新しくする必要もないのだろうから特にどこも変わっていないように見えるし、かといって古びているようにも見えない。20年そのままといった風で、久しぶりだから話が弾むかと思いきや、やっぱりそうでもなかった旧友みたいな感じがした。昔もよく一緒にいたけど特にすごく気が合うってわけでもなかったな、って話しながら思い出すような(別にわるい意味で言っているわけではない)。

ターミナルから浜松町駅までの道には新しい空中歩道が走っていて、その歩道とビルの隙間から東京タワーに沈む夕陽が見えていて歩きながら見入ってしまう。知らない街にいるみたいだった。

旧友のような竹芝

© Eisuke Asaoka