About
「家が作られねばならぬ」——誰へもの一つの心配としてそれが起こった。
今和次郎が関東大震災後の東京を歩き、バラックを調査した際に書いた言葉だ。異常気象やそれに伴う災害が相次ぐ現在、この「家」をいったいどこに作ればよいのか、素朴な疑問が浮かぶ。住む場所は必要だ。でも、どこに?どんなふうに?
これまで住んでいた場所に住めなくなる。住む必要がなくなる。人が住む場とされていたところが放置される。ずっと住むのか、ひと時身を寄せるのかも変わる。隣人が変わる。隣にいるのは、人ではないかもしれない。生物、モノ、気候は、すぐ傍にある。住むことが揺らいでいる。
無としてきたものに向き合う時なのだろう。それらはずっと近くにいて、ゆるやかに変化している。わからない揺らぎに不安を感じるより、まず、現実の気配をよくよく観察するところから始めよう。耳を傾け、鼻を利かせ、微かな振動をつかまえて。
ここでは、いくつかの切り口から小さなリサーチを重ね、住むことの今を、文章、音楽、香りなど異なる表現で発信していく。
今の風景を肌で感じて、この先の「住む」を想像するプロジェクト。
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